妊活がうまくいかないときはどうすればいいか。近著『射精道』が話題の生殖医療専門医・今井伸さんは「不妊カップルのなかには、そもそもセックスの回数が少なすぎる夫婦が意外に多い。改善に必要なのは医学的な治療よりむしろ、夜にこだわらず、朝や日中に機会をみつけてセックスをすること」という──。(第1回/全2回)

「セックスは夜にするもの」という“思い込み”

僕はこれまで生殖医療の専門家として、たくさんのご夫婦の不妊治療に関わってきました。また、日本性科学会の認定セックスカウンセラーとして、セックスレスカップルのご相談に乗ることもありました。

そうしたご夫婦に共通して提案していることがあります。それは、「夜にこだわらず、朝や日中に機会をみつけてセックスをしてください」ということです。

そもそも、子どもができないのも、セックスの機会を失っていくのも、「セックスは夜にするもの」というバイアスが原因になっていることが少なくないからです。

キス
写真=iStock.com/franckreporter
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妊活夫婦の盲点「そもそもセックスが少ない…」

男性不妊、女性不妊、またはその両方など、子どもができない原因はご夫婦によってさまざまですが、意外な盲点となっているのが、そもそものセックス回数の少なさなのです。

診察室へやってきた不妊カップルは、当然ながらほぼ全員が「頑張って妊活しているのに子どもができません」と訴えてきます。ところがその割に、セックスの回数を聞くと「月に2~3回です」と答える夫婦がとても多いのです。

排卵のタイミングを狙いすましている、もしくは、「間を空けた(禁欲した)ほうが精子が濃くなるから」といった間違った思い込みで、セックスの回数を制限している夫婦もいました。

はっきりいって、月に2~3回のセックスで妊娠しないから「不妊治療が必要だ」と考えるのは、早計といえます。