「迷惑ドライバーをさらしてやろう」はNG

Q 迷惑運転や⾔いがかりをつけてきたドライバーの様⼦など、ドライブレコーダーで録画した動画を投稿して、多くの再⽣数を稼いでいるケースも見かけます。車のナンバーだけでなく、ドライバーの顔がわかるような動画も多くありますが、よいのでしょうか?

A ドライブレコーダーで録画した動画に関しては、「⾃動⾞の前後を⼀定時間撮影した上で、上書きされていくものである」とし、「特定の⼈を追いかけて撮影するものでない」のであれば、撮影⾏為⾃体が違法とされることは考えにくいでしょう。

ドライバーの肖像については、公道のような公共性の高い場所での撮影である場合には、肖像権侵害は認められない可能性が高くなります。

しかし、承諾なく公開する⾏為については、肖像権侵害が考えられますし、それだけでなく、プライバシー権の侵害が考えられます。また、名誉毀損きそんも考える必要がありますよ。

名誉毀損の成否を分ける「動画公開の目的」

Q どのような行為が名誉毀損に当たるのでしょうか?

A 他者の社会的評価を低下させるような行為です。

河瀬季『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』(祥伝社)
河瀬季『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』(祥伝社)

「割り込み」や「⾔いがかりをつけてきた」様⼦を公開することは、悪質な⾏為を⾏なう⼈物であるとの事実を示すことになるので、その⼈の社会的評価を低下させることになり、名誉毀損を問われる可能性があります。

ただし、⼈の犯罪に関する事実を明らかにすることは、公共の利害に関するものと⾔えますし、その⼈がどのような⾏為を⾏なったのかという真実が映像で明らかになっているのなら、映像が編集されたものでない限りは、名誉毀損は成立しにくいでしょう。

しかし、再⽣数を稼ぐこと⾃体が主要な⽬的であるような場合には、公益⽬的を⽋いているとして、真実であったとしても、名誉毀損となる可能性があります。公益⽬的を判断する上では、あえて、特定の⼈の顔を「さらす」必要があるのかといった点も考慮されるので、⼀般⼈の容姿や車のナンバーを公開するのは避け、人の顔や車のナンバーにはモザイク処理をしてください。

まとめ
・車のナンバーにはモザイク処理を忘れずに。
・公益目的を欠く映像は、真実でも名誉毀損になる可能性も。
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