※本稿は、河瀬季『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
誹謗中傷コメントは名誉毀損に当たるのか
Q 物申す系YouTuberのBさんが、美容系チャンネルの動画を配信していたAさんに対して、半年ほど前から絡み始めました。だんだんエスカレートして、名指しで誹謗中傷する動画を配信し始め、ネット上で悪口コメントを煽り始めたそうです。
私の動画のコメントに、「こんなことになっているみたいですよ。ひどいですね」と書き込んだ人がいて、私もつい調子を合わせて、「ホントですよね。ひどいなあと思います」と返事してしまったのです。
Bさんはおそらく自分が非難されたと思ったのか、それ以後、私に「そんな田舎顔して化粧法を教えるなんて生意気だ」などとコメントし始めました。そのうちに一緒になって悪意のあるコメントをする人が現れ、困っています。こうしたコメントは名誉毀損にはならないのでしょうか?
A 名誉毀損は、不特定または多数の人に対して、個人または法人の社会的評価を低下させる具体的事実(証拠等をもって、その存否を決することが可能な事項)を指摘した場合に成立します。
また、個人の感想ではなく、他人の社会的評価を低下させる表現であるのなら、それが事実の摘示か意見ないし論評であるかを問わず名誉毀損が成立することになります。
すっぴん顔が見るに堪えないというのは個人的感想であり、具体的な事実の摘示とは言えず、名誉毀損が成立する可能性は低いですが、ひどい悪口を繰り返したり、執拗に罵声を浴びせ攻撃したりといった場合には、名誉感情を侵害するとして、侮辱罪を問える可能性があります。
YouTubeに誹謗中傷する悪口コメントが書き込まれた場合には、YouTubeに対してコメントの削除を要求するという方法がありますよ。