「勝つ」ほどに失う

得たお金を目当てに人が寄ってきて、それに気づいたときに深い孤独を味わうこともあるだろう。勝つためにエネルギーを使いすぎて、家族や友人と一緒に過ごすべき大切な時間を失っていることもあるだろう。

こうして、「勝つ」こと以上に、人は大事な何かを気づかないうちに失っていたりするものなのだ。

「勝つ」ことに囚われすぎることで生じるマイナスは、おそらく本人が思っている以上に大きなものだ。

男性、ジーンズの空のポケット
写真=iStock.com/eranicle
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「負けない」は失うものが少ない

一方、「負けない」という姿勢には、「勝つ」こととセットとしてある「失う」という感覚が希薄である。

「負けない」姿勢には、満足感と納得感が最低限あればいいという思いがあるからだ。すなわち、不必要に得ようと思わないから、その裏で何かを失うという感覚をさほど持ちえないのである。

つまり、「勝ちたい」という欲に伴う「得たい」という執着が、「負けない」姿勢においてはあまりない。それゆえ、「負けない」姿勢には失われるものが少ないのである。

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