自滅するのは、簡単にいってしまえば“負けない本能”が欠けているからである。
逆にいえば、自滅などしないホンモノの強さを身につけるには、頭で計算したテクニックと負けない本能の違いがどこにあるのかを知ることから始めなくてはいけない。勝つためのテクニックをいくら磨いたところで、負けない強さはけっして生まれてこないのだ。
「負けない」と「勝つ」はまったく違う
「負けない」と「勝つ」──。
勝負や人生に対するこの2つの姿勢は、結果的には同じことを意味していても、本質においてはまったく別物である。
たとえば、「強さ」という点に関しては、最終的に「負けない」のほうが「勝つ」よりも勝っている。「勝ちたい」という気持ちは、根底に「脆さ」を抱えているからだ。
「勝ちたい」という気持ちは、欲望と同じで限度がない。
限度がないから、それを達成するために汚いこと、ずるいことなどにも目をつむってしてしまう。勝者の裏側には必ず敗者がいるものだが、そうした敗者の存在や状態には目もくれず、勝てそうとなれば際限なく相手を叩きのめすようなやり方をしてしまう。
そこに「満足感」「納得感」はあるか
もう一方の「負けない」という気持ちは、人間の素の部分、本能に近いところにある。
負けなければいいわけだから、限度をわきまえており、相手をとことん追い込む必要もない。相手がちょっと弱ればおしまいとか、自分に必要なものが得られればそれで十分、という終わらせ方ができる。
つまり、「負けない」という気持ちには、「もうこれでいい」という満足感、納得感がある。