ただ、「勝つ」ことにこだわりすぎたり、勝たなければ生きる意味がないかのように考えたりすると、マイナス面が大きくなってしまう。ゆえに「勝つ」ことには節度が必要だ。

そのためには「勝つ」より「負けない」という感覚を持つことが大切であり、また本当の強さに近づけるといいたいのである。

「勝つ」ほどに多くを失う

「勝つ」というのは、何かを得ることだ。勝利とともにもたらされるのは、お金や出世、名誉や評価だったりする。しかし、自然の摂理からいえば、得たものは失う定めにある。寄せる波は必ず引くのだ。

もちろん死ぬまで得たものを持ち続けることもあるだろうが、それだって、死によって当人にとってはゼロになってしまう。

得たものの多くは、よわいを重ねていく中で徐々にいろせ、姿を消していく宿命にある。勝ちたいと思って勝ち、得たものが多いほど、失うものは多くなる

たとえば、あり余るほどたくさんのお金を得ても、年を取ってくれば体も能力も衰えてくるから、自分の思うようには使えなくなる。たくさんあっても生きたお金にならないのだ。他人からの評価だって、その瞬間は多大なものを受けても、5年、10年と歳月が流れるうちに忘れられてしまう。

本当に守るべきものは何か

失うものは、お金や評価など具体的に得たものだけではない。

仕事や人生において自分が「勝つ」ことばかりにとらわれた人は、利己的な振る舞いがすぎて周りからの信頼を失うことだってあるだろう。