※本稿は、桜井章一『勝とうとするな 負けの99%は自滅である』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
精神より肉体が先
勝負においては「一体感」を持つことが大切だ。心と体の一体感、相手との一体感、勝負という場との一体感。こうした一体感を持つには、そもそも“心構え”と“体構え”がしっかりしていなくてはならない。
心構えと体構えは最終的に一致する。人は精神を重く見がちだが、精神より先にくるのが肉体だ。人は肉体を持ってこの世に生まれ出て、それから精神が育まれていく。
つまり、人間は「肉体ありき」の存在なのだから、心構えをしっかりしようと思えば、体構えを整えるべきなのだ。体構えがしっかりすれば、心構えも整ってくる。
考えれば硬くなる
では、しっかりした体構えとはどのようなものなのか。それは力みのない柔らかさに貫かれた体といっていい。ぐっと力の入った状態ではけっしてない。
自然界の生き物はみな、この柔らかい体構えをしている。魚には魚の、鳥には鳥の、柔らかで美しい体構えがある。彼らの動きは流れるようで硬さがどこにもない。
人間で、彼らほどの体構えができる者はめったにいない。人の体は、彼らと比べるとあまりにも硬い。
この硬さは、人が頭で考える習性を持つことに由来する。思考の動きがある限り、人は根本から力を抜いて体を柔らかくすることは難しいのだ。