つまり、4000万円を超えたところからは、5億だろうが、10億だろうが、100億だろうが、税率は同じなのである。

2014年までは所得1800万円以上は一律40%だったので、そのころに比べれば随分ましにはなっているが、この程度の改正ではとてもじゃないが、広がった格差の是正にまでは至らないだろう。

株による収入はどれだけもうけても税率20%

もっと問題なのは、株による収入は分離課税の対象なので、累進課税が適用されず、どれだけ儲けても税率は約20%だということだ。

つまり、働いて得た1億円だと住民税まで含めれば約5000万円の税金を取られるのに、株で1億円儲けた場合にはそのうちの約2000万円しか取られない。

これこそが、格差拡大をさらに深刻にする税制なのである。

金持ちは税金徴収システムの裏をかく
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まあ所得にしろ株の収入にしろ、その金額が膨大だからといって極端に高い税率を課したりすれば、当事者たちは全力で節税対策を講じるだろう。

その道のプロをお金で雇って税制の欠陥や抜け穴をうまく使い、時にはタックス・ヘイブンも活用して、合法的に課税を逃れようとするだろうから、結果はたいして変わらないようにも思われる。