日本の税金はなぜ高いのか。生物学者の池田清彦さんは「簡易課税制度や輸出還付金があるため、消費者が消費税として払った金額のうち、実際に国庫に入るお金は半分以下。所得が低い人ほど不利という不公平な制度になっている」という――。

※本稿は、池田清彦『平等バカ』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

金持ちは税金徴収システムの裏をかく

現実にある経済的格差があまりに大きすぎて、もう多くの人たちは一部の富裕層に対する羨望の眼差しを向けることさえしなくなりつつあるが、ピケティは高所得者の税負担を増やすことが格差の是正に必要であると論じている。

ただ、グローバル化が進んだ現代は、金持ちの金は国内だけで動くわけではない。

海外の株に投資したり、海外の土地を買ったりして儲けることだって自由にできるのである。

また、タックス・ヘイブン(課税が著しく軽減されたり完全に免除される国や地域)を使って税を逃れることもできるだろう。

金持ちは税金徴収システムの裏をかきながら自らの富を増やしていくのだ。

それを抑制するためには世界的な規模の協調が不可欠だとピケティは言っているのだが、国にはそれぞれに国家主権があるからなかなか難しい。

むしろそれを助長することで儲けようとする国もあって、そこがマネーロンダリングの天国のようになっており、簡単には制御できなくなっているのだ。

日本の税制は富裕層に有利

そもそも日本の現行の税制自体が、富裕層に忖度そんたくしていると思えてならない。

個人の所得税は7段階の累進課税だが、4000万円以上の所得に対しては一律45%である(図表1)。