バブル時代の人気バラエティー番組「風雲!たけし城」(TBS)が、Amazon Prime Videoで34年ぶりに復活する。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道さんは「いまのテレビはお笑い芸人によるトーク番組が人気だが、かつては言葉に頼らないバラエティー番組がたくさんあった。『たけし城』には日本のテレビが得意とする笑いが詰まっている」という――。
100人が100万円を目指して体を張る
1986年~1989年にTBSで制作・放送された「痛快なりゆき番組 風雲!たけし城」が、2023年にAmazon Prime Videoで復活する。これを聞いて驚かれた方も多いのではないだろうか。
「復活!風雲!たけし城(仮題)」は、34年ぶりに伝説の人気番組をさらにパワーアップして復活させるというのだから期待が高まる。いま53歳の筆者もかつてドキドキしながら夢中になってみた番組のひとつである。
「風雲!たけし城」は大掛かりな視聴者参加型のバラエティー番組で、放送時には空前のブームになった。TBS緑山スタジオの2万3000坪の敷地に総工費1億円をかけて建てられた400坪の「たけし城」に、毎回100人の参加者が賞金100万円を目指し、城の「攻略」に泥だらけ・水浸しになりながら身体を張って挑む。まさに昭和のバブル真っただ中に放送された「古き良き時代のバラエティー」だ。
なぜいま復活? と思われる方もいるだろうが、そこにはきちんと時代を読んだ「計算」があると筆者は考えている。むしろ「風雲!たけし城」の復活はいまだからこそなのだ。
かつての主流は「言葉に頼らない笑い」だった
私はこの番組の最大の特徴は、「言葉に頼らない面白さ」を追求していることだと思う。「ノンバーバル(非言語)バラエティー」とでも名づけることができるのではないか。ノンバーバルバラエティーは、とにかくわかりやすい。なにも考えずに楽しむことができ、人気が出やすい。幅広い層に、つまり誰にでも受け入れられるのが特徴だ。
かつてこうした「ノンバーバルバラエティー」がテレビを席巻した。その代表選手のひとつが「風雲!たけし城」なわけだが、他にも懐かしい番組はいろいろある。