NHKの朝ドラ「ちむどんどん」をめぐってネット上での批判がやまない。コラムニストの木村隆志さんは「朝ドラとしては『毒にも薬にもならない作品』という程度なのだが、ネット上の批判が増え、『毒としか思えない』と感じる人が多くなってしまった。本土復帰50年の節目の作品として、もっと真摯に沖縄を掘り下げていれば、印象は違ったはずだ」という――。

「#ちむどんどん反省会」の厳しいダメ出し

9月30日の最終話まで残り3週とゴールが見えてきた朝ドラ「ちむどんどん」(NHK)。同作は今後の朝ドラにも大きな影響を及ぼすであろう、とんでもないものを生み出してしまった。

それは一部の視聴者によって連日書き込まれる「#ちむどんどん反省会」。毎朝、放送終了後から書き込まれるツイートにつけられたハッシュタグのことであり、残りわずかになった現在まで、そのほとんどが厳しいダメ出しで占められている。

主に物語と登場人物がダメ出しされているのだが、放送が進むにつれてエスカレートし、脚本家・羽原大介や主演・黒島結菜を名指しで責める誹謗ひぼう中傷に近いものすら見かけるようになってしまった。

「嫌なら見るな」は通用しない朝ドラ

ここまでダメ出しがエスカレートしたのは、朝ドラに「嫌なら見なければいいじゃないか」という理屈は通用しないから。「朝ドラは生活習慣の一部」「NHKには受信料を払っている」などの理由で「ダメだから」では許してもらえないのだ。

そんな状況を見た一部のメディアは、「大幅に再編集か」「打ち切りは?」などと報じたがるが、編成や撮影・編集のスケジュールを踏まえると、「批判を受けたから」くらいでそれらが行われることはありえない。むしろ、それなりに視聴率はとれているし、「NHKプラス」の再生数アップに貢献しているのだから、その意味では社内評価されるべきという声も聞こえてくる。

結果的になぜ“反省会”という名のダメ出しがここまで盛り上がってしまったのか。また、称賛を得るためには何が必要だったのか。ネット上の「駄作」という声に流されず、フラットな視点から掘り下げていく。