さらに強力な味方が現れた。「Netflix」など世界的な配信プラットフォームだ。映像コンテンツが世界を席巻する最近の傾向は、そうしたノンバーバルバラエティーの存在価値をさらに高めることとなった。

日本テレビ「はじめてのおつかい」からスタジオトーク部分をカットして10分程度に再編集したものがNetflixで世界的に大ヒットしたのも、「言葉が関係なく楽しめる子どものおつかい」というノンバーバルな題材を、「不思議な国ニッポン」の田舎の「驚くほど平和な様子」を見ながら楽しめるコンテンツだからこそではないか。

家族そろってテレビ鑑賞
写真=iStock.com/Phynart Studio
※写真はイメージです

古き日本のコンテンツの「隠れた実力」

かつてアジアを中心に世界を席巻した日本のドラマは、いまや韓国ドラマに押されて国際競争力をあまり持たなくなってしまった。

日本のテレビコンテンツはオワコンなのか、というと決してそうではない。「風雲!たけし城」のような古き良き昭和のノンバーバルバラエティーが日本を代表するテレビコンテンツとして世界で戦える時代がきたのではないか。

今年5月にロイター通信が、TBSのスポーツバラエティー番組「SASUKE」から生まれた競技が新しいオリンピック種目の有力候補になっていると報じた。こちらもまた「たけし城」同様に言葉を超えた日本のテレビ発のコンテンツだ

そして国内でも、内輪ウケを狙った芸人頼みのトークバラエティーに飽きた視聴者や、トークバラエティーに共感できない若者の受け皿として、「ノンバーバルバラエティー」の時代が再びやってくるのではないかと期待したい。

考えてみればテレビ業界はトークバラエティーにあまりにも頼りすぎてしまったのではないか。若者に人気のユーチューバーたちが身体を張ってチャレンジするスタイルのコンテンツを多く発信し、それを受け入れる若者たちが多いことも考えると、ノンバーバルなコンテンツと若者の親和性は高いと言える。

こうしたコンテンツは日本のテレビのお家芸だった。「風雲!たけし城」のような番組は地上波でも、国内の配信でも、そして海外向けのコンテンツとしてもヒットする可能性は高いのではないか。

筆者は、日本のテレビ発のコンテンツが再び世界を席巻することを期待する一人であるが、その鍵となるのは、トークバラエティーの隆盛で忘れかけた「古き良き時代のバラエティー」なのかもしれない。

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