姉が精神安定剤を飲むように

姉は度重なる母からの呼び出しや暴言のせいで、精神的にかなり参っていた。

睡眠導入剤や精神安定剤を飲んだりもしていた。

姉は睡眠導入剤や精神安定剤を飲んだりもしていた…
写真=iStock.com/diego_cervo
姉は睡眠導入剤や精神安定剤を飲んだりもしていた…

しかしそのことは、当時一切僕には言わなかった。

自宅に戻ると家族の前で泣き崩れ、子どもたちに愚痴って心配をかけ、

「そんなにつらいなら、もうおばあちゃんの所に行くのはやめなよ。このままだと、ママがおかしくなっちゃうよ」

と言われていたという。

しかし、それでも姉は母のもとに通った。

ひどいことを言われてもなお、通い続けた。

それは一体なぜなのか。その胸の内を姉はこう語っていた。

「ひどいこと言われてもね、翌日呼び出されるとやっぱり心配になって、お母さんのとこに行っちゃうのよ。

『お母さんを頼む』ってお父さんからも言われたし、何よりあの時は豊も千賀子さんも忙しかったでしょ。私はもう子どもの手は離れてるし、手が空いているわけだから、暇な私がやればいいかなと思ったの。

それにね、お母さん、いつもひどいことを言うわけじゃないのよ。一緒にテレビを見て笑ったり、楽しく思い出話なんかができたりする日もあるの。

ひどいこと言われて、『お母さんなんか知らない!』『もう来てやるもんか!』って思う日もあったけど、昔のように明るく朗らかなお母さんでいる時もあったから、何を言われても頑張れたんじゃないかと思うのよね」