社会に出て活躍できる人、できない人

私のみる限り、偏差値の高い大学を出ているのに成果をあげていない人というのは、与えられた仕事はうまくこなすものの、自分から率先して仕事をとってきたり、創意工夫して良い方法を考え出したり、状況の変化に応じて自ら判断して動くことが少ない。

一般的に上司の指示を待っている「指示待ち族」が多いように思う。

一方、偏差値の高い低いにかかわらず、何かに打ち込んできた人や個性の光る人は、何でも前向きに取り組み、人が嫌がるような雑務もこなす気概がある。こうした人たちは、自ら問題意識を持って仕事に臨むため、みるみる実力をつけていき、入社してから数年後には大きな成果を出している。

結局、入試のときの偏差値が高い大学を出たからといって、社会に出てから活躍できるというわけではないのである。

日本の名経営者には一流大学出身者が多くない

これまで日本が生んだ優れた経営者や実業家たちに目を向けてみてほしい。

パナソニック創業者の松下幸之助さん(尋常小学校中退)やホンダ創業者の本田宗一郎さん(高等小学校卒。後に高等工業学校の聴講生を経験)、サントリー創業者の鳥井信治郎さん(商業学校中退)のように、大学を出ていない人もいる。

もちろんこの方たちはほんの一例に過ぎないが、そのほかの名だたる経営者にも、一流大学出身者はそれほど多くないのが実情である。

指示待ち族が増えるのはなぜなのか

それにしても、なぜ有名大学を卒業しているのに指示待ち族になってしまう人がいるのだろうか。

有名大学や一流といわれる大学の出身者には、親の希望を叶えるために、自分の意志ではなく、他人から言われた通りに勉強することを優先してきた人が多い。そういう人は「自分はこれから何をすべきか」「自分の強みは何か」ということを考えられないのではないかと思う。これがブランド大学至上主義の大きな弊害だ。