消費財が増えると人々の行動はどう変化するか

このように、今まではなかった製品がこの世に登場するのは技術の進歩によるものであり、技術の進歩こそが経済成長の原動力になってきました。

アップル製品の箱
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エジソンは蓄音機や電灯を発明して人々が消費する財の種類を増やしました。これと同じように、スティーブ・ジョブズはiPhoneを生み出すことにより、人々が消費する財の種類を大きく増やしたのです。ここからは、消費できる財の種類が増えることによって、人々の行動、特に子供の数を決める行動がどのように変化するかについて、考えてみましょう。

おこづかいとして5000円のお金を持っているとします。お金の持ち主は、昼食を食べることと、趣味に使う資金を5000円でまかなっています。学校の近くに昼食を提供するレストランの数が増えた場合、どのように行動が変化するでしょうか。

選択肢が増えると満足度が高まり、財の消費が増える

一般的には、昼食の選択肢が増えることになります。昼食の選択肢がおにぎりとサンドイッチしかない状態から、カップラーメン、たこ焼きが選択肢に加わると、昼食の楽しみが増えることでしょう。すると、この人は趣味に割いていた予算を減らして、昼食に使う予算にまわすことでしょう。なぜこのような行動の変化が起きるのかというと、昼食に使うお金の価値が上がったからです。毎日500円を昼食に使っていても、選択肢が増えると、500円から感じることのできる満足感が増えるのです。

人々は、高い満足感が得られる活動には、多くの予算を割くようになります。この場合は、趣味と比較して、昼食から感じ取れる満足感が上がったので、昼食に割く予算が増えるのです。一般的に、消費できる財の種類が増えると、財の消費から得られる満足感が高くなります。したがって、人々はより多くの予算を財の消費に回すようになります。

このことを頭に入れた上で、経済成長が進むと、子供の数がどのように変化するかを考えてみましょう。