長期的影響:高血圧や骨粗鬆症、妊婦は胎児の低体重リスクも

肝機能が低下している人などでは、カフェイン摂取によって高血圧リスクが高まる恐れがあることや、カルシウム摂取量が特に少ない人において、こつしょう症発症の原因となる可能性が指摘されています。妊婦が高濃度のカフェイン摂取を続けると、胎児が低体重となり将来の健康リスクが高まる可能性も報告されています。また、カフェインは耐性がつきやすいため、日常的に摂取を続けると効き目を感じにくくなり、摂取量が増えやすいという問題もあり、健康な人でも摂り過ぎには要注意です。

日本では、厚生労働省や農林水産省がカフェインの過剰摂取について注意喚起をしています。(厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」)(農林水産省「カフェインの過剰摂取について」)

コーヒーならマグカップ2~3杯まで

気になる摂取量目安ですが、日本独自の基準は現状定められておらず、各機関の基準値を引用する形がとられています。各機関により多少の差はありますが、悪影響のない1日当たりの最大摂取量として示されている基準をご紹介します。

健康な成人:400mg/1日
妊娠中・授乳中の女性:300mg/1日

※400mgはコーヒーではおおむねマグカップ3杯、300mgの場合はマグカップ2杯までが目安とお考えください。

また、子どもはカフェインへの感受性が高いため、より注意が必要です。カナダ保健省の示す基準では、4〜6歳の子どもの最大摂取量は45mg/1日とされていますが、コーラ1缶(350ml)を飲むと、この目安量を上回る可能性があります。子どもの体重にもよりますが、1日1缶以内にとどめておくのがよいと思います。(内閣府食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」より)

以上の、カフェイン摂取のメリットと過剰摂取の危険性を踏まえ、日常生活で上手にカフェインを利用するためのポイントを押さえておきましょう。

カフェイン含有量表示に注意する

現状、飲料等のカフェイン含有量の表示は義務ではなく、事業者が任意に行うこととされています。そのため、製品ラベルにカフェイン含有量表示がない商品も多く販売されています。

また、エナジードリンクや眠気覚まし用の清涼飲料水の成分表示は、100ml当たりの濃度で書かれていることも多く、意図せずに多量のカフェインを摂取してしまう可能性もあります。表示がないものは販売者等のウェブサイトで確認する、製品1本当たりに換算してカフェイン含有量を正しく把握するなど、適正量の摂取にとどめるようにしましょう。