産経新聞が“無料”閲覧できる

今や一大文化として定着した感があるフリーペーパー。そのおもな収入源は購読費ではなく、誌面に掲載される広告費によってまかなわれている。

35万部を発行する「TOKYO HEADLINE」は、2002年7月に創刊された老舗の無料誌だ。当初は日刊の無料新聞「HEADLINE TODAY」としてスタートを切ったが、同年11月には誌面を改め、週刊化した。

「もともと報道色の強い誌面づくりをしていたのですが、それだと広告が入らない。そこで“フリーペーパー=プロモーションメディア”であることを強く意識し、タイアップの記事を柔軟に増やしていきました」(ヘッドライン・一木広治社長)

その後、エイベックスやギャガ・コミュニケーションズが同じグループに加わったことで、同誌はエンタメ系コンテンツが持ち味になり、ブランド化に成功。その特色を活かして同社は「TOKYO HEADLINE」以外にも、ピザのデリバリーの際に配る月刊紙や、専門学校などに置く隔月刊誌も発行している。これらの読者ターゲットは新聞を定期購読しない若者層であるため、既存の新聞と競合しない広告の獲得が可能になった。

また紙の仕入れや印刷を新聞社に委託し、ライブイベントを特集した誌面中央の4ページを、そのまま同イベントで配るなど、コストのスリム化に余念がない。

紙メディア無料化の余波は、定期購読が当たり前だった新聞にも影響を与えている。2008年12月に産経新聞が開始したのが、iPhoneアプリによる誌面データの配信サービスだ。毎朝5時以降にデータをダウンロードすれば、iPhoneで全紙面が当面無料で閲覧できる。なぜ、こんなことが可能なのか。