1階の掲示板はトラブル情報の宝庫
中古住宅の吟味はデータ集めから。まずはチラシやウェブサイトなどで定点観測をして相場観をつかみたい。適正価格で売り出された物件は1カ月程度で買い手がつく。2カ月以上も買い手がつかない物件は相場より高い証拠。3カ月程度の定点観測で場所や地形、間取り、築年数によって物件価格がどれぐらいになるかをつかめるはずだ。
マンションの場合は修繕積立金の状況を聞く。分譲時には売り主が長期修繕計画を作成するが、売り主の計画では当初の積立金を低く抑えている場合が多い。その場合、大規模修繕時に積立金だけでは対応できず高額な一時金を徴収されることがある。最初の大規模修繕は10~12年目に実施されるため、修繕前の物件を購入する場合には注意が必要だ。一方で大規模修繕が問題なく済んでいる物件であれば、管理組合が機能している安心なマンションといえる。
また修繕積立金を調べると住民のレベルがわかる。積立金を滞納しても追い出されるわけではないので、モラルの低い住民は平気で滞納する。全戸数の2割が滞納すれば修繕ができず資産価値は激減する。小規模だと数戸が滞納するだけで資金不足に陥る。管理費用も1戸当たりの負担率が高い。その意味でマンションは50戸以上の規模がないとリスクが大きい。
物件には何度か足を運びたい。現地を見ずに売買を決める不動産業者はいない。現地取材は情報の宝庫だからだ。まずは周辺環境を調べよう。特に日当たりに関わる物件南側の将来像を考える。「第一種低層住居専用地域」のように戸建てが並ぶ地域なら安心だが、それ以外であれば何が建つかわからない。現在は公園だとしても、地主が相続税対策で自治体に貸している場合は、相続時に売却されて大規模な開発が行われる場合がある。