プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法とは

「プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法はウクライナがロシアを軍事的に打ち負かすことだ。そうすれば日露戦争と第一次大戦に敗れたニコライ二世(帝政ロシア最後の皇帝)と同じ運命がプーチン氏を待ち受けている」(スウィーニー氏)

同氏によると、ロシアの大砲は射程10~15マイル(約16~24キロメートル)しか届かないが、ウクライナに計16基が配備される「切り札」米M142高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射程は40マイル(約65キロメートル)だという。

リーチの長いボクサーが有利なように、7月になってロシアの武器庫が「ハイマース」によって破壊されるようになり、ウクライナは射程の長い多連装ロケットシステムや榴弾砲、弾薬の到着を待っている。スウィーニー氏は「キーウには東部ドンバスやクリミア半島出身者が多いので、ロシア軍をウクライナから完全に追い出すことを望んでいる」と語る。

「プーチン氏が通っていた柔道とソ連の格闘技サンボの教室の指導者はギャングだった。その墓碑銘には『マフィアは不滅だ』と刻まれている。スパイになる前、プーチン氏はギャングだった。ギャングの鉄の掟は忠誠だ。プーチン氏はギャング仲間に忠誠を尽くしたが、同時に忠誠を求めた。プーチン氏の仲間たちはいま孫と過ごすため引退したがっている」

「プーチン氏は自分の命を狙うかもしれない新顔がインナーサークルに入ってくるのを嫌っている。(ロシアの軍事的な敗北が確実になっても)クレムリン内にはプーチン氏を脅かす新興勢力は現れないだろう」とスウィーニー氏は断言する。

プーチン氏は1989年、ベルリンの壁が崩壊するのを旧東ドイツのドレスデンで目の当たりにした。

「ベルリンの壁が崩壊したように、プーチン氏は市民の抗議デモがロシア全土で沸き起こるのを恐れている。反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏を投獄したあと生かしているのも、徴兵制を全面的に導入できないのも大衆蜂起を恐れているからだ」とスウィーニー氏は語る。プーチン氏の「終わり」は着実に近づいている。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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