無理に友人関係になろうとしてはいけない

私は出逢いが多いほうですが、そのなかで続いていく人は、ほんの一握りに過ぎません。それでも一度だけしか会わない人にも、意味はあると思うのです。最初に会うときは、仕事や友人関係につなげようと気負わず、ただ「どんな人かな」と人間ウォッチングのような感覚で会うと、気も楽。

物書きの性分もありますが、もともと人に興味があるので「へー。そんな見方があるんだ」「こういうところ、素敵だな」などと考えながら、人の話を聞くのが面白くてたまらないのです。

「相手が自分をどう思うか」は、あまり考えないことにしています。よく思われるに越したことはないけれど、相手の気持ちは相手の問題。

「最低限、失礼なことはしないでおこう」という程度で、その場を一緒に楽しむことのほうが大事。続いても続かなくても、ひとつの出逢いは自分の世界を少しだけ広げてくれます。

先日出逢った、70代後半の会社社長がこんなことを話してくれました。

「コロナの影響で仕事や家がなくなった20代の女性たちがいてね。3カ月間、50歳離れた女性5人と私の6人で暮らしたんだ。あれは私の革命だった。いまの20代女性はこんな考え方をするんだと、毎日、驚きの連続で、ものすごく勉強になったよ」

若々しい外見と、パワフルな活躍はそんな柔軟性からもくるのかもしれません。同じぐらいの年齢で似た価値観の人とつき合うのは楽ですが、うんと年上・年下、まったく違う価値観の人などはすんなりいかない分、パンチの効いた刺激があります。

なにより新鮮な出逢いは、気持ちにもハリが出て楽しいではありませんか。

オフィスで若者に笑顔で挨拶する中年男性
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです

「ちょっとお試し」ぐらいの感覚でいい

人との出逢いの場は、仕事、同業者の集まり、趣味のサークル、習い事、ボランティア、地域の活動、オフ会、紹介、行きつけのお店などさまざまです。

新しい人間関係のなかに入っていくときは、「ちょっとお試し」くらいの軽く、ゆるい感覚で入っていけばいいのです。心地いい関係になれば幸運だし、合わなくても、目的がある場合は、それなりの距離でつき合えばいいでしょう。

会社や家族などのほかに契約やルールがない場所をもつと、それを継続しようとする緊張感も生まれて、コミュニケーションをトレーニングしていく場にもなります。

昨今は、SNSなどで自分発信の会をつくる人も増えてきました。自分が好きなものを好きな人、似た目的をもつ人とは気が合うものです。

人間関係が狭くなってくると、心も考え方も柔軟性がなくなり、仕事にも影響が出てきます。できるだけ早いうちから、軽い気持ちで一歩を踏み出してみましょう。