飲酒は寝つきを助けるが、睡眠の質を下げてしまう

【小林】お酒を飲んだら、気持ちよい眠気がやってきて、そのままウトウト……そんな経験をされた方や、実際にお酒の力を借りて寝ている人もいるのではないでしょうか。しかし、お酒は寝つきを助けてはくれるものの、実は「睡眠の質」に関してはマイナスに作用してしまうのです。

お酒を飲んだあとに眠くなるのは、吸収されたアルコールが胃腸から血液に渡り、それが脳に到達した際に、覚醒作用をもつ神経細胞の活動を抑え込み、眠気を誘うためです。また、体の深部体温を下げることでも、眠気を誘います。

ベッドの上でグラスを持ったまま酔いつぶれて寝ている人
写真=iStock.com/yipengge
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それならば、寝る前にお酒を飲めばぐっすり眠れるのでは? と思うかもしれませんが、問題はそのあとです。飲酒をして3時間ほどすると、アルコールが分解される時に出る「アセトアルデヒド」という物質が交感神経を刺激します。

他にも、睡眠物質である「アデノシン」にも影響を与えることがわかっています。さらに、アルコールによる利尿作用で、トイレに目を覚ましやすくなります。つまり、眠りを浅くしてしまい、睡眠の質を下げてしまうのです。

1週間禁酒で体の変化を感じることが重要

【三輪田】酒量はほどほどに、そして、飲む際には必ず「水」を一緒にとるようにします。まず、お酒を飲む前に1杯の水を飲み、そして飲んでいる合間にも、お酒1杯につきお水1杯の割合で、同量の水をこまめに飲むこと。

そうすることで、お酒による脱水症状も防げて、自律神経が乱れることによる悪酔いや二日酔いも緩和することができます。また、寝る3時間前には飲み終えて、そのあとはノンカフェインの飲み物に切り替えるようにすれば、睡眠に影響は出にくくなるでしょう。

ただし、やはり快眠のためにはお酒は飲まないことが理想です。私は、「お酒だけは絶対にやめられない!」というクライアントさんには「ダマされたと思って1週間の禁酒実験を試してみてください」とお伝えしています。

頑張ってお酒を我慢していただいた方の中には、寝起きがスッキリするようになり、日中も頭がクリアに働いて、「こんなに違うなんて、もうお酒は飲めない……」と目を輝かせながら報告してくれた事例が、数多くあります。コロナ禍を経て、家で飲酒される方が増えているということですが、思い当たる人は、人体実験だと思ってとにかく1週間禁酒してみてください。まずは体の変化を感じてみることをおすすめします。