『ドラゴン桜』で起きた「にわか東大受験ブーム」の実態
この「どうせ感」は、若い世代にも蔓延しているように感じられます。
2021年に放送された阿部寛さん主演のテレビドラマ『ドラゴン桜2』の反響を知って、私はそんなことを考えました。
このドラマは、劣等生の高校生たちが、熱血教師の指導によって勉強法を学んで東大に合格するというストーリーです。
このドラマの第1シリーズ『ドラゴン桜』は2005年に放送されましたが、その後に「にわか東大受験ブーム」が起こり、東大にチャレンジする人が増えました。
「俺だって、やれば東大に合格できるかも」
「私も、東大生になれる気がする」
こう思った受験生が多かったようで、番組に関連した参考書や問題集もヒットしました。
ところが、続編の第2シリーズが終わっても、東大を志望する人が増えた様子はありません。
番組に関連した商品が特別に売れたという気配もないようです。
平均視聴率は第1シリーズが16.4%、第2シリーズが14.8%ですから、ほぼ同じくらいの人たちが番組を見ているのです。
いくら若者のテレビ離れが著しいとはいえ、不思議な現象に思えたのです。
実際にあれこれとやると、楽しいことが増える
私は受験勉強法の著作を数多く出版していますが、最近は昔ほどには売れなくなっています。
もちろん、少子化の問題や若者の活字離れ、親の経済事情などの影響があるかもしれませんが、それ以上に「勉強法を変えたって、どうせダメだ」と最初から諦めている高校生や受験生が増えているように感じています。
『ドラゴン桜2』が東大チャレンジに火をつけなかったことも、同じ理由ではないでしょうか。
「私も受かるかも」と思って明るい気持ちで勉強に励めば、仮に東大に合格できなかったとしても、現在の実力以上の大学に進める可能性があります。
「どうせダメだろう」と最初から諦めてしまうことは、あらゆる可能性をゼロにすることとイコールなのです。
気持ちを明るくして、楽しく毎日を過ごすためには、「どうせ……」という口ぐせをやめて、「とりあえず……」という新たな口ぐせを心がける必要があります。
似たようなフレーズで、「ひとまず……」というのでもいいでしょう。
「とりあえずやってみよう」
「ひとまず試してみるか」
こう考えれば、どんなことでもやってみる気になります。
実際にあれこれとやってみれば、楽しいことが増えますから、自然と笑顔になっている自分に気づくはずです。