ドイツが目指す障がい者がスムーズに動ける社会とは

ドイツでは2002年5月1日から、障がい者の平等が法律(ドイツ民法典)で義務付けられています。これは、かいつまんでいうと「障がいがあるからという理由で、不利益を被ることは許されない」ということです。

山や川、海、ビーチ、森などの自然についてバリアフリーは望めないものの、人の手の入った場所であればどこでもバリアフリーにすることが求められています。道を作る場合もそうですし、建物を建てるときもそうです。自動販売機も車いすに座っている人が押せる高さにボタンがないといけません。

事前の予約をしなくても、複雑な申請をしなくても、そして理想は人の助けを借りなくても、たとえば車椅子に乗っている障がい者が一人で自由に動けるようになるべきだとドイツでは考えられています。

ただし、石畳の道や古い建物も多く、まだまだ追いついていないことも。そんな場合は人の助けが必要となりますが、ドイツ人が長期的に目指しているのは「人の助けを借りなくても障がいのある人がスムーズに動ける社会」です。

ところでドイツの社会は動物に優しいですから、犬は子供料金でケージに入れずに電車に乗れるし、犬が入れるレストランも日本よりもたくさんあります。

日本には「ペット不可」のマンションがよくありますが、ドイツにはまずありません。そういった事情も関係していて、盲導犬はペットではなく目の見えない人にとって必須の存在だという知識はドイツ社会にゆきわたっています。そのためどんな場所を盲導犬と一緒に歩いていても注意をされたり退室を求められることはありません。

けれど日本では盲導犬を連れた客の入店を断った店が、のちに「不適切だった」と謝罪したというニュースがしばしば流れます。一部のお店は動物が店内にいると不衛生だということを真っ先に考えてしまい、盲導犬がいないと生活がままならない人がいることまでに考えが及ばないようなのです。

ドイツで目にするオシャレな車いすが日本では見かけられないワケ

ドイツの街を歩いていると、オシャレな車椅子を見かけることがよくあります。乗っている本人の好みに合わせて、派手な色をしていたり、模様が入っていたりします。

あるとき「うわー、パンクな感じの車椅子だなあ」と思い、乗っている人を見たら……本当にパンクな感じのお兄さんでした。

日本の障がい者は「公」の場でそこまで個性を出していない気がします。本人がそれで居心地が良いと感じているのなら、何の問題もありません。

でも、ほんとうはもっと自分の個性を出したいけれど遠慮しているのであれば、やっぱり本人が堂々と自分の好みや個性を出せるような雰囲気を社会全体で作っていかなければならないと思います。