日本の不動産市場はこれからどうなるのか。実業家のひろゆきさんは「日本に住んでいる頃から地震への危機感は薄いほうだったが、不動産を買う気にはならなかった。特にタワーマンションはありえない」という――。成毛眞さんとの共著『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』(集英社)より一部をお届けする――。(第1回)
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年を重ねるほど自然災害への恐怖心は高まる

【ひろゆき】そもそも僕は「未来を予想しても、基本的に外れる」と思ってるんです。大きく外れないのは人口動態くらいですよ。

【成毛眞】そのとおり。僕は『2040年の未来予測』という本を出していますけど、ベースは人口動態と自然災害です。このふたつは確実ですが、ほかは不確実ですからね。

【ひろ】実際「20年後の20歳の人口」は、今年の0歳の人口でほぼ決まりますからね。

【成毛】話はいきなり変わりますが、僕は、明るい未来を予想する人は精神年齢が若くて、年を取ると悲観的になると感じています。未来予測でわかるのは、未来じゃなくて、その人の精神年齢だと思いますよ(笑)。

【ひろ】若いときって体力もあるし、給料もポジションもどんどん上がっていく。でも、ある程度の年齢になると体力は落ちて、定年になって退職したり、収入もポジションも低くなる。亡くなる知人も出てくる。そういうことが影響してるのかもですね。

【成毛】若者特有の無鉄砲さは、物を知らないからできるんです。年を重ねると経験も増えますが、よけいな知識も増えますから、やることが慎重になる。

【ひろ】新規事業の立ち上げも、年を取ると「昔似たようなサービスがあった」とか「あのサービスはうまくいかなかった」とか、やらない理由も増えますからね。

【成毛】あと、年を取ると自然災害に対する恐怖心を持ちますよね。それも人生で何度も経験しているからでしょう。でも、実際に10~20年後の日本の未来を考えたら、最大の問題は地震ですよ。地球科学者の鎌田浩毅・京都大学名誉教授によると、首都直下地震は今日起きてもおかしくないし、南海トラフ地震は2035年±5年で起きると予測されているそうです。しかも、両方とも東日本大震災よりも規模は大きいとも。僕も含めてですが、よく日本から逃げないなと思いますよ。

タワマンはついのすみかとしてはありえない

【ひろ】僕は、日本に住んでいる頃から地震への危機感は薄いほうでしたけど、不動産を買う気にはならなかったですね。特にタワーマンションはありえない。建設から50年とかたって、老朽化したときにどう建て替えるのか。老朽化の前に売り抜けるならまだしも、ついのすみかとしては厳しいですよ。

【成毛】僕も「不動産は買うな」と言ってます。間違いなく人口は減っていくし、今後は空き家も増えるわけですから。一方で、ここ1、2年はタワマンの価格は上がって、土地の価格は上がっていないんですよ。

【ひろ】タワマン人気は、相続税対策だといわれていますよね。ただ、法律が改正されて高層階に行くほど固定資産税が高くなった。今後はもっと不利になるかもしれないので、節税系の商品としては微妙そう。