最小努力で“残業沼”から脱け出す方法
こうした“残業沼”のサイクルから抜け出し、「最小の努力で現状から脱出できる方法」があります。それは「人事評価トップ5%社員」(以下、5%社員)が実践している時間術です。この時間術は一般的な95%社員(以下、95%社員)でも実践可能です。
事実、私たちが明らかにした「5%社員の時間術」をマネてもらったビジネスパーソン2万2000人のうち、89%の人が「より短い時間でより成果を残すことができた」と答えています。
私はかつてマイクロソフトに勤めていましたが、独立して業務効率アップと学び方改革を支援する会社、クロスリバーを創業しました。それから800社以上の企業・団体の生産性向上プロジェクトに関わり、のべ17万人のビジネスパーソンの業務効率アップを支援してきました。
クロスリバーのメンバーは、私も含めて、「週休3日」でこうした支援を提供しています。なにより私たち自身が時短の実践者なのです。
多くの人が「効率」を上げようとしている
今回、クロスリバーが支援している企業・団体の中で、突出した成果を出している人を見つけ、各社の経営陣の協力を得て、人事評価でトップ5%社員の言動を分析。そこから、再現性が高く、実践的な「残業沼から脱け出す最良の方法」を探りました。
調査で判明した興味深い事実があります。それは、「仕事をするうえで効果と効率のどちらを優先させますか」という質問に対し、95%社員の53%が「効率を重視する」と回答したことです。
つまり、半分以上の人が、「仕事を効率的にこなす」ことを目指しているのです。
5%社員は「効率」より「効果」を重視
たしかに、働き方改革の影響で「早く仕事を終わらせなくてはいけない!」というプレッシャーが高まっています。
夜遅くまで働いて苦労していることをアピールしても評価されないので、残業時間を少なくして仕事をこなすことに価値を見出している人が増えている現状もあります。
しかし、極端なことを言えば、効率だけを目指すのは本末転倒です。やらなくてもいい仕事を効率的にこなしても、成果につながらないからです。
さらに、重要度の高い仕事にエネルギーを注がず、軽くこなしていては、本来の目的が達成されず、「成果」からは遠のきます。
そのためか、5%社員は、そもそも「効率」という言葉に疑問を抱いており、「何でもかんでも短い時間でやればいいわけではない」と指摘しています。5%社員は、完璧な効率主義者かと思ったら、実は「効果優先主義」だったのです。