選挙の見どころは有権者一人ひとりが生活を顧みて見つけるもの
ちなみに、参院選が「盛り上がりに欠ける」からといって「見どころがない」ことにはならない。そもそも「見どころ」は個々の有権者が投票にあたり、自らの生活を顧みながら自ら発見するものだ。メディアの仕事はそれを手助けすることにある。
ということで、筆者が現時点で考えている「参院選の見どころ」を記しておきたい。
野党第一党を争う立憲民主と維新の綱領
①次の衆院選で自民党と政権を争うべきは、立憲民主党か日本維新の会か
筆者は昨年末から今回の参院選について「立憲民主党と日本維新の会の『野党第1党争い』」に着目してきた(昨年12月公開の「本当に『旧民主党の負の遺産』を克服できたのか 立憲民主党が参院選までにやるべきこと」をお読みいただきたい)。両党の基本的なスタンスには、日本が目指すべき社会像に大きな違いがあるからだ。
綱領に「支え合う共生社会」をうたい、自助よりも共助や公助に力点を置く立憲。公助による政府の過剰な関与を見直し「自助」を重視する維新。目指すべき国のかたちはほぼ真逆だ。現在の政治状況は、何をしたいのかが見えない自民党の岸田政権と野党の間にではなく、野党第1党と第2党の間にこそ対立軸がある、と言っても過言ではない。
メディアは最近、野党第1党争いの勝敗の基準を、なぜか「比例代表の得票数」に置こうとしているが、これには違和感を覚える。良くも悪くも国会におけるリアルパワーは議席の数であり、だからこそメディアはこれまで、小選挙区制のもと与党が圧倒的多数の議席を得た時、与野党の実際の得票数にさほど大きな差がなくとも「与党圧勝」と報じてきた。
にもかかわらず今回の参院選で、突然評価基準を変えて「比例の得票」ばかりを強調するのは、維新が勝ちやすい要素のみにことさらに注目するメディアの思惑を疑わざるを得ない。
だが、仮に維新の比例の得票が立憲を上回り、メディアが「維新勝利」をあおり続ければ、確実に次の衆院選に影響するだろう。自民党に対峙する国家観が「支え合いの社会」から「自己責任の社会」に移る可能性がある。
今回の参院選は「立憲vs維新」という野党間の戦いに「国家像の選択」という大きな命題が隠されていると、筆者は考えている。