「野党」の仕事を放棄した国民民主やれいわをどう評価するか

②自民党に「すり寄った」野党にどんな審判が下されるのか

①で書いたことといきなり矛盾するようだが、その維新は国会の最終盤になって、自民党と対峙すべき役割を自ら捨ててしまった。

岸田政権になってから政府への反対姿勢を強め、2022年度政府予算案や補正予算案に反対し(野党なら当然と言えるが)、両案に賛成した国民民主党を口を極めてののしっていたはずの維新は、今月9日の衆院本会議で、立憲民主党が提出した岸田内閣に対する不信任決議案に反対。週刊誌報道で女性記者などへのセクハラ疑惑が取り沙汰された細田博之衆院議長に対する不信任決議案には「態度を留保する」として、賛否も決められず棄権した。

筆者は脱力した。これでは、自らが批判してきた国民民主党と同じではないか。この半年間、参院選の見どころを①であると見定めてきたのは間違っていたのか。維新は本当に野党だったのかと。

立憲と維新の「国家観」の選択という要素は、現在も確かに残っているので、見どころ①を完全に捨てようとは思わない。だが、少なくとも両党の戦いを「野党第1党争い」と呼ぶ気持ちは、急速に失せつつある。

ちなみに、内閣不信任決議案については、維新のほかに国民民主党が反対、れいわ新選組が採決を棄権した。また、細田議長の不信任決議案については、維新、国民民主、れいわの3党が棄権している。

内閣を信任したり、賛否を留保したりして信任をアシストする政党を「野党」と呼んでもいいのか。特に国民民主とれいわは、わずか半年前の衆院選で、明確に野党陣営の一員として支持を得たはずだ。こうした政党の行動を有権者がどう判断するかが、ここへ来て参院選の見どころに浮上している。

「ロシアのウクライナ侵攻」に対する各党のスタンスの違い

③各政党が「ロシアのウクライナ侵攻」から何を学び、日本の政治に取り入れようとしているか

「目指すべき国家像」という中長期目線の争点が苦手な方には、目下の世界的な政治課題である「ロシアによるウクライナ侵攻」に対し、各党がどう反応しているかを見どころとするのも良いと思う。

「ロシアの『力による現状変更』は許せない」という、誰もが言いそうなことではない。そこでは各党の差はほとんどつかない。だが「現実に顕在化した脅威のどこに着目し、どう対応するか」の考え方には、大きく二つの方向性があるように思う。

ひび割れの入った壁に描かれたウクライナとロシアの国旗
写真=iStock.com/Gwengoat
※写真はイメージです

一つは、隣国・中国を念頭に「『力による現状変更』を狙う他国の脅威にどう対処するか」に着目して「軍事」面中心の対処に力点を置く考え方だ。防衛費の倍増、敵のミサイル発射基地などを破壊する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保有検討、緊急時に政府の権限を拡大するための、憲法改正による「緊急事態条項」の創設、日本国内に米国の核兵器を配備し、米国と共同運用する「核共有」(核シェアリング)などが挙げられよう。

もう一つは「ロシアがウクライナの原発を攻撃した脅威」に着目する考え方だ。稼働中の日本の原発が他国から攻撃されれば、通常兵器による攻撃であっても核攻撃を受けたのと同等の被害を受ける可能性があるとして、原発の再稼働阻止を訴える。これに関連して、戦争が世界の物流を止め、エネルギーや食糧の国際的な調達に大きな支障が生じることに備え、エネルギーや食糧の自給率を上げることなどにも力点を置く。「軍事だけでなく、エネルギーや食糧の確保も国家の安全保障」という考えだ。具体的には再生可能エネルギーの普及促進などが挙げられるだろう。

これらはあくまで筆者の考える「見どころ」であり、有権者の皆さん一人ひとりの暮らしと政治の接点の中に、それぞれの「見どころ」が生まれるはずだ。選挙戦で多くの政党、多くの候補者の生の声に触れ、自分の「見どころ」を見つけていただきたい。

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