「ブルーシートのみで一泊」は一番かっこいい

——たしかに、「家のフライパンを使うのは恥ずかしい」とは思っていました。

僕が子どもの頃、自分の父親がやっていたキャンプって、特別なものは買わずに、全部家にあるものだけで済ませていました。

極端にいうと、テントも、ブルーシートで代用できるんです。僕が父親とキャンプに行ったのは二回しかないですけど、一回目は海で、そのときはどこからか借りてきたテントを使いました。

ブルーシート
写真=iStock.com/Gyro
※写真はイメージです

でも、二回目は川沿いで、ブルーシートでテントらしきものを作ったんです。もう一組、デイキャンプをしている家族がいたから、子どもだった僕は「あっちのテント、いいなぁ」と思っていました。

でも、今思えば、ブルーシートのみで一泊するなんて、いちばんかっこいいキャンプスタイルですからね。天候が雨とか、季節が冬とかじゃなければ、ブルーシートテントでも、なんとかなるんです。

参考にならないかもしれないけど、僕の父親がやっていたブルーシートテントの張り方を教えておくと、まず現地で調達した竹を適当な長さにのこぎりで切って、立方体のやぐらを組んで骨組みにしました。

使う紐は古新聞を縛るビニール紐。それで、長方形のブルーシートを二枚使って、設営していましたね。こんな感じです。

「無駄金をかけたくない」から手持ちの道具でやる

——一面だけ開けておいて、そこが出入り口になっているんですね。

そう。これだと入り口から虫が入るでしょ? だから、蚊帳かやを中に吊るしていました。

僕、一応ソロキャンパーとしては、何年もコツコツ活動してきたから、日本ではある程度知られた存在になったと思うんですけど、そんな僕からすれば、家にあるものだけでソロキャンプをやっていたら、かっこいい。

「無駄金をかけたくない」といって、手持ちの道具だけでやるのって、粋じゃないですか。家で10年くらい使っている、近所の金物屋で買ったどこのメーカーかもわからないフライパンを見かけたら、「その年季の入りまくっているフライパン、どこのですか?」って聞きたくなりますもん。

ソロキャンプを長くやってきて、いろんな道具を使ってきましたけど、今は一周回って、昔やった貧乏キャンプに憧れているんです。現地で調達した竹とブルーシートだけでテントを作って、家にある汚い鍋とかでやるキャンプスタイルです。

でも、それって、初めてキャンプする人には、逆にハードルが高かったりもしますよね。家のフライパンを使うのも、僕にとってはかっこいいことだけど、初めからそれを求めるのは酷かもしれません。