これまでプーチン政権を擁護し続け、プロパガンダ的な情報を流してきたロシア国営テレビ「ロシア1」。そんなテレビ局の番組で、軍事アナリストがロシアによるウクライナ侵攻を厳しく批判する一幕があった。同局などによるプロパガンダを信じ、ロシア軍の強さと正しさを疑わなかったロシア語圏の視聴者たちからは、驚きの声が上がっている。
ソーシャルメディア上で話題になっているのは、軍事アナリストのミハイル・キョーダリョノクによる発言だ。「ロシア1」は通常、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻について愛国的なトーンで報道を行っているが、キョーダリョノクは同チャンネルの番組「60ミニッツ」の中で、ロシア軍の部隊がウクライナで直面している状況について、「愛国的」とは程遠い、厳しい指摘を行った。
防空司令官から軍事評論家に転身し、2020年には「祖国貢献勲章」を受賞したキョーダリョノクは、「事実上、全世界が我々に反対している」と、ロシアが国際社会で孤立していると主張。さらに、ロシア軍は士気の高いウクライナ軍を相手に、厳しい戦いに直面することになるだろうと述べた。
キョーダリョノクは、ウクライナ軍の士気が低下しつつあるという「誤った」報道を信じてはならないと主張。ウクライナ政府は、100万人を動員して、西側諸国から供与を受けた武器で武装させることができると述べ、ロシア軍にとっての状況は「率直に言って悪化するだろう」と指摘した。
In an extremely rare moment of candour on Russian state TV today, defence columnist Mikhail Khodaryonok gave a damning assessment of Russia's war in Ukraine and his country's international isolation. It's fairly long but worth your time so I've added subtitles. pic.twitter.com/0mr7WAgSx6
— Francis Scarr (@francis_scarr) May 16, 2022
司会者のプロパガンダ的主張を一蹴
番組司会者のオリガ・スカベエワ――ロシア政府の「最高プロパガンダ責任者」と呼ばれている人物――がこの指摘を受けて、「ウクライナ軍の部隊はプロではなく、さほど大きな脅威ではない」と反論したものの、キョーダリョノクはその主張を一蹴。ウクライナ軍が徴兵によって集められた兵士の集まりかどうかは大した問題ではないと述べ、重要なのは彼らが「最後の一人になるまで戦う」意思を持っていることだと述べた。
また彼は、フィンランドがNATOへの加盟申請を決定したことを受けて、ロシア政府が核の「脅しをちらつかせている」ことについても批判した。
ロシアの科学者で政治アナリストのアンドレイ・ピオントコフスキーは、キョーダリョノクの発言を受けて次のようにツイートした。「キョーダリョノクが、ロシア軍からの最初の降伏文書を運んできた」