26日朝、読売新聞が配信した<「タトゥー客お断り」の銭湯、地元J3選手は例外>という記事がSNSなどで話題となった。タトゥーがある人の入場を禁止している岐阜県内の入浴施設が「FC岐阜の選手は例外」という張り紙をしたことで、一部の利用客から「FC岐阜の選手だけ特別扱いをするのか」との声が上がり、張り紙を撤去したという内容だった。ネットでは賛否両論が沸いたが、数は少ないものの、入れ墨やタトゥーがある人でも入浴できると公表している施設はある。入れ墨=反社会的勢力との印象が強い日本で、なぜ受け入れを決めたのか。そもそも、入れ墨=反社のイメージはいつごろから根付いたのか。施設や識者を取材した。
岩手県一関市にあるサウナを備えた入浴施設「古戦場」は、2021年6月「当店はタトゥー・入れ墨のある方の入浴を許可しております」と入り口に貼り紙を掲示し、ツイッターでも公表した。
同店は1951年に開業し、サウナを備えた入浴施設としては老舗である。浅野裕美社長は、
「昔から入れ墨があるお客さまはおみえになっていて、他のお客さまから『そういう人がいるならもう来ない』などとクレームを頂いたこともありました。私自身も入れ墨やタトゥーをしている人間ではありませんので、それを目にした時に何も思わないということではありません」
と率直に思いを話す。
公衆浴場法では、銭湯が拒否できる客や、客の禁止行為について、「営業者は伝染性の疾病にかかっている者と認められる者に対しては、その入浴を拒まなければならない」「入浴者は、公衆浴場において浴そう内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼすおそれのある行為をしてはならない」と定めている。入れ墨についての明確な規定はない。
安倍政権は17年2月、「入れ墨があることだけを理由に入浴を拒むことはできない」との答弁書を閣議決定した。ちなみに、スーパー銭湯や日帰り温泉施設は「公衆浴場」ではなく「その他公衆浴場」に分類されるが、この閣議決定は「その他公衆浴場」も対象にしたものだ。