外国人を騙す度量がない詐欺師
「詐欺だと疑われているあるコンサルティングの人は、最初は真面目にやっていたのですが、ある時から詐欺まがいな仕事をするようになったようなのです。ただ日本人移住者は提供した情報だけ持っていって、他の会社で契約することも少なくないんです……。『正直者は馬鹿を見る』ではないですが、真面目にやっているのがキツくなってきたのかもしれませんね。消費税以外に、アルコールやタバコなどの嗜好品への税金、ホテルの宿泊税、ハウジングフィーといって住宅を使う際の税金となんだかんだ税金がかかるし、生活物資を輸入に頼っているので、日本より物価が高い。だから暮らしは思ったほど豊かではないです。決して詐欺を擁護しているわけではないのですが、詐欺をする気持ちはわからないでもないですね。でも詐欺は絶対許せないです」
と平井さんはため息をつく。
思ったより豊かになれない、という背景も思い当たる。冒頭のA氏はUAEの土着の名門の出自なので、国から無償で土地を与えられ、ホテルと見間違うような豪華な一軒家の持ち主だった。
そして自国民なら教育や医療も無償だ。その半面、真夏の炎天下、砂嵐が吹きまくる砂漠で低賃金の建設工事をしているのは主にインド人やパキスタン人だ。
前出の日本人経営者B氏は言う。
「日本人が日本人をだます話は本当によく聞きます。思うに、詐欺側は海千山千のインド系やヨーロッパ系の起業家をだます語学力も腕もない。その点、英語ができない世間知らずの日本人なら、架空の不動産投資に引っ掛けるのは簡単だと思っているのでしょう」
日本人が日本人を騙しぼったくる。生き残るための弱肉強食がドバイの現実なのだ。