ラマダン期もお構いなし。観光客をどんどん誘致せよ!
通常ならばラマダン中のドバイでは昼の町に活気がなく、観光面では閑散期となる。しかし、今年の様子は違うようだ。
「例年ならば断食中の人々を刺激しないように、日中の飲食店をクローズしたり、開店してもついたてをして目隠しをしたりしていました。今年は開店してついたてを外すところが増えたのです。コロナ禍でドバイに来る外国人が激減したので、どの国よりも早く水際対策を緩和して、観光客や移住者、外資系企業を積極的に誘致したいという政府の思惑が透けて見えます」(平井さん)
ラマダン期の断食は、本来であれば経済活動を損なうが、宗教とは無関係の外国人がお金を落とすのはウェルカム。どちらも両立させる姿勢は、UAEの中でもドバイの“お家芸”といえる。
オイルマネーに頼らない、経済・観光立国戦略
1971年のUAE建国時のドバイは、ペルシャ湾岸の漁村で、周囲は荒涼とした砂漠地帯であった。しかしわずか半世紀で中東一のビジネス拠点に発展し、UAEの中では経済、貿易、観光面をリードする。
というのもUAE全体は世界第7位(2020年)の産油国だが、ドバイでは現在ほとんど石油が採れないため、オイルマネーに頼れない。
発展の理由は、世襲の首長一族であるマクトゥーム家の巧みな成長戦略がある。建国時の首長ラーシド・ビン・サイード・アール・マクトゥーム殿下は、1960年代後半のペルシャ湾岸諸国の石油発掘ブームにもいたって冷静で「脱石油路線」を早くから計画していた。