「一般企業では倒産していてもおかしくない」
こうした経営不振地銀にいま、ひとすじの光明が射している。20年8月14日に施行された改正金融機能強化法だ。この法律は、従来の金融機能強化法が、公的資金を受けた地銀に経営責任を含む厳しい改善措置を求めるのに対し、「新型コロナウイルス感染拡大の影響が認められれば、コロナ特例として公的資金を受けても収益性・効率性の目標や経営体制の見直しを求めない」(金融庁関係者)という。
まさに公的資金を返せないでいる地銀にとっては渡りに船の法律だ。公的資金を返せないでいる地銀が、改正金融機能強化法で公的資金の借り換えをするのではないかと、金融界ではもっぱらだ。
改正金融機能強化法の「コロナ特例」では、経営者の責任を問われることがなく、かつ、従来の金融機能強化法では15年以内に返済を求められていた期限が事実上撤廃された。「期限のない」とは「返さなくてもよい」と言い換えてもいいような公的資金だ。
きらやか銀行に続き、経営不振に喘ぐ地銀の公的資金申請が相次ぐ可能性が高い。「公的資金は銀行だから受けられる優遇策だ。一般企業では倒産していてもおかしくない」(財界関係者)という厳しい指摘も聞かれる。コロナ禍で苦しむ地域企業を支援することを口実にした、地銀救済がまかり通ろうとしている。