きらやか銀行は当初、第三者割当の優先株の発行などによる資本増強も検討したが、疲弊する地元企業に新株を引き受ける体力はなかったということだろう。結果、国に資本増強を頼む公的資金申請を決断した。とくに今回の公的資金は20年に施行された改正金融機能強化法に基づく「コロナ特例」が適用される。この特例は、公的資金を受けても経営責任が問われない立て付けになっている。まさに経営不振を極める地銀にとって助け船となる。

本業で稼げない中、有価証券投資に乗り出すも…

実は金融庁は4年前から地銀の有価証券投資に懸念を示していた。「体力を超える有価証券投資にのめり込み、含み損が拡大している地方銀行がある」。18年夏、金融庁幹部はこう指摘していた。

念頭にあったのは、18年3月期決算で7年ぶりに純利益が赤字に転落した福島銀行で、同年6月に業務改善命令を出したのはその象徴だった。同行は、マイナス金利政策に起因する資金利鞘りざやの縮小に加え、含み損を抱えた投資信託の解約・売却に伴う損失処理(19億円)で赤字に転落したのだ。

この投資信託の含み損の早期解消は、金融庁の指導によるもの。赤字の責任をとって、森川英治社長(当時)や幹部が辞任した。その後任社長には、地元のライバルである東邦銀行の元専務で、「とうほう証券」社長であった加藤容啓氏が就く異例の人事も断行された。

福島銀行への業務改善命令は、地銀の現状を如実に映し出していた。本業の預貸で収益が望めない中、大半の地銀は海外の有価証券投資に乗り出したが、世界的な金利上昇局面で損失を被ったところが少なかった。「今期のコア業務純益予想を上回る評価損を抱えている地銀も散見される」と金融庁関係者は吐露していた。

市場が予想に反して動けば致命傷となりかねない

このため金融庁は、複数の地銀に対し「経営の持続可能性」を検証するため立ち入り検査に入った。「経営の持続可能性」とうたっていたが、最大の課題は過大な有価証券投資と含み損の存在にほかならなかった。「経営体力対比で過大なリスクテイクを行っている地銀が多数確認される。経営計画で掲げた配当を達成するために、本業利益で賄えない分を有価証券投資で補う業務計画や、有価証券の含み損を先送りする計画を策定する地銀がある」(金融庁関係者)というものだ。