「問題はポーランド」とロシアが警戒
ただしラブロフ外相は、第3次世界大戦について、次のように言及しました。
この人たちは、ウクライナの政権を守るためにNATO軍のほとんどを投入することを要求している。そして、いつもキーウに武器をよこすようにと言っている。これが「火に油を注ぐ」ことになる。
この人たちは、武器の供給によって、紛争をできるだけ長引かせ、ウクライナの最後の一兵までロシアと戦わせ、少しでも多くロシアに犠牲が生じることを望んでいる。武器を供給し、この方向でプロパガンダを展開する(ポーランドを除く)全ての指導者は、NATO軍を派遣することはないと述べている。
ワルシャワは、モラビエツキ首相の口を通じてウクライナに「平和維持軍」なるものを提案しており、平和維持軍の旗の下で軍人の派遣に関心を持っている。
ラブロフ外相が強調したのは、アメリカもNATOもロシアも、戦争はしたくないと思っている。問題はポーランドだ、という点です。
分割占領され、123年間も地図から消えた
ポーランドは3月半ばに、ウクライナに平和維持部隊を派遣するようNATO加盟国に要請する意向を明らかにしています。アメリカやNATO本部はウクライナ派兵を完全に否定している中での提案であり、ポーランドは急進的です。
歴史を振り返ると、ポーランドは18世紀末、帝政ロシア、プロイセン、オーストリアによって分割され、123年間にわたり地図から消滅。第1次世界大戦後に独立を回復しますが、第2次次世界大戦時にはソ連とドイツから侵攻され、再び分割占領されました。その苦い経験からロシアの脅威を強く感じるからこそ、断固たる対応を取りたいと考えているのだと思いますが、ことはそれだけにはとどまらない可能性があります。
3日後の4月28日、今度はSVRが注目すべき声明を発表しました。
ロシア対外諜報庁が入手した情報によると、ワシントンとワルシャワはウクライナにおける「歴史的領有」に関し、ポーランドの軍事・政治的統制を確立する計画を検討している。
「統合」の第一段階として、「ロシアの侵略から防衛する」ためというスローガンの下でウクライナの西部諸州にポーランド軍を進駐させることになる。現時点でジョー・バイデン米政権と今後の作業の態様について議論している。
暫定的合意によれば、ポーランドはNATOの委任ではなく「有志国」の参加によって行動することになる。ポーランドが有志国を募って、独自の判断でウクライナに平和維持部隊(軍隊)を派遣するという計画だ。
SVRがインテリジェンス情報を公表するのも、異例なことです。ウクライナ西部のガリツィア地方は歴史的にポーランド領ですから、SVRは、ポーランドの狙いはウクライナ支援にとどまらず、第2次世界大戦で失った領土を回復することだと捉えているのです。