年金制度、医療/介護制度に疑問を持つ人が増えるだろう

これまで「余裕」があったからこそ、だれもが問題にしなかった――いうなれば、お目こぼしされていた――社会の諸問題が次々と議論の俎上にあげられていく。たとえば年金制度や医療/介護制度は、まず間違いなくいまのままの姿では持続可能性がないことを、多くの人が「どうしてみんな、今までこのことに関心を持たなかったのだろう?」と考えるようになるだろう。

高齢者の歩行を補助する介護者
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社会的な価値観や規範意識が全体的に「自己責任」の方向に先鋭化していくことになる。この時代において生活が立ちいかなくなったり、あるいは落伍してしまったりした人に対する世間からのまなざしは厳しくなる。だれもが全力を賭して「自衛」するべき時代だということが分かり切っているにもかかわらず脱落してしまった人は、つまりそれを怠ったのだ――という結果責任が強調されてしまうからだ。

「厳しい時代なのだから『自衛』をするべき」が社会的合意になった世界で失敗すると、再チャレンジの余地が与えられるのではなくて「自衛をしなかったからそうなったのだ」と突き放される。

社会に余裕がなくなるほど「自己責任論」は強くなる

これはいまにはじまったことではない。バブル崩壊、リーマンショック……未曽有の大不況が訪れるたびに顕在化してきた事実である。私たちの社会は、余裕がある時には他者にやさしいが、他者へのやさしさが本当に必要とされる厳しい時代には手の平を返す。晴れた日には傘を貸してくれる親切な人はたくさんいるが、雨が降り出すとだれも傘を貸してくれなくなる。

身を守るためのたったひとつの方法
結論から書きますが、スタグフレーションから身を守るためのたったひとつの方法は、「貧乏になることは避けられないので、お金と幸せについての考え方を変える」です。
これは決して冗談ではありません。多くの人にとって、これからでもできる根本的な対策は、これしかありません。今の生活や収入にこだわる考えを変えて、もっと小さな幸せについて向き合い、お金のかかることを諦めるしかありません。
(中略)
「なんだ、精神論か」と言いたくなる人もいると思います。しかし、逆に言えばスタグフレーションには精神論ぐらいしか有効な対策はないのです。それほどにスタグフレーションは大きな現象です。
(cryptocoinchef「スタグフレーションが始まった - 自分を守るために」2021年9月19日より引用)