糖質を避けさえすればよいとする主張と比べて、「一般的に全粒穀物は体にいいとされる。ただ、玄米は無機ヒ素やカドミウムを含んでいる。けれどもそのリスクは小さいと考えられる」という主張では、結局のところ玄米は体にいいのか悪いのか、よくわかりません。でもそれでいいのです。実際によくわかっていないのですから。

日本人の食事には「80年程度生きられる」実績がある

それでも、何かわかりやすい指針はあったほうがいいですね。極端な糖質制限以外にも、エビデンスが不明確なまま過大な効果をうたう食事法をよくみかけます。どの情報が正しく、どの情報が正しくないのか、見分けるよい方法はあるのでしょうか。多くの人にとって、論文を読んで内容を吟味することは難しいでしょう。個人レベルでは、「我慢を強いる食事法や従来の食事からあまりにもかけ離れた食事法を避ける」という指針を採用し、あとは好みを優先してよいと私は思います。ただし、この指針はあくまでも現在大きな病気のない人に対するものです。当たり前のことですが、持病がある人は主治医とよく相談してください。

極端な糖質制限がおすすめできないのは、ごはんやお寿司やパンやピザやうどんやソバやお好み焼きやパスタをあきらめるにもかかわらず、健康になれるかどうかがわからない、それどころかもしかしたら総死亡率を上げるかもしれないというきわめて割に合わないものだからです。さらに現在の平均的な日本人の食事からかけ離れているのもリスクが大きいでしょう。日本人の食事は、改善の余地はあるものの、少なくとも平均的には80歳以上生きられるだけの実績のある食事法です。

和食の朝食イメージ
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

健康な食事に「正解」はありません。あるいは、人の数だけ「正解」があるともいえましょうか。身も蓋もありませんが、どんなに食事に気を使っても、病気になるときはなりますし、死ぬときは死にます。価値観は多様ですので、やってみたい、そういうのが楽しいという人がいれば、趣味として極端な糖質制限をやってもいいのですが、リスクと限界を承知のうえでやってみてください。

【関連記事】
がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの"
「卵を目玉焼きにするとカロリーは2倍」慶應女子高の保健授業で教えた"美しく痩せるダイエット12カ条"の中身
食べるだけで「太りにくい体」に変わる…脳内の遺伝子スイッチを切り替える"ある穀物"
「何でもいいから朝食は食べたほうがいい」産業医が伝授する"いい眠り"を手に入れる毎日のルーティーン
「野菜たっぷりなら良いわけではない」糖尿病患者にほぼ確実に不足している"ある食べ物"