「ごはん」と「砂糖」は同じではない

確かに糖質制限食をすれば、糖質は消化吸収されるとブドウ糖などの単糖になりますので、血糖値の上昇を抑え、摂取カロリーを減らし、肥満を解消することにつながります。緩やかな糖質制限は健康にプラスの効果があるといえます。

しかし、食事には多くの要素が関係していて、単純化はできません。糖質を単純に悪者だとみなしてしまうと、「ごはんを食べるのは、砂糖を食べるのと同じ」といった誤った考えに陥ります。白米を主食としてきた日本人は国際的にも平均寿命・健康寿命は長いほうです。「ごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」であるなら、砂糖はそれほど体に悪くないという結論になってしまいそうです。

茶碗に入ったご飯
写真=iStock.com/flyingv43
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実際のところ、ごはんと砂糖は同じではありません。一口に糖質といってもさまざまな種類があります。砂糖(ショ糖)は、ブドウ糖と果糖が結合した「二糖類」。穀物や芋の主成分であるでんぷんは、ブドウ糖が鎖のようにたくさんつながった「多糖類」。二糖類よりも多糖類のほうが消化・吸収が遅く、その分だけ血糖値の上がり方も緩やかです。

多糖類を多く含む穀物でも、果皮や胚芽が残っている「全粒穀物」と、精白された「精製穀物」では健康に対する影響が異なります。それなのに極端な糖質制限を行うなら全粒穀物も避けなければなりません。食物繊維やビタミンは野菜の摂取で補えるかもしれませんが「糖質を制限しさえすればよい」という糖質制限の利点が消えます。そこまでして極端な糖質制限を行うのは合理的ではないと思います。

糖質制限をするなら主食を「全粒穀物」に置き換えるのがいい

糖質制限食を行うなら、主食を全粒穀物に置き換えるのがいいかもしれません。一般的に全粒穀物の摂取は、心血管疾患、がん、総死亡率の減少と関連しています(※2)。果皮や胚芽には、ミネラルやビタミン、食物繊維が豊富に含まれていて、これらの栄養素が健康にプラスの影響を与えているのでしょう。

(※2)Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies

日本人が全粒穀物を摂取するなら、白米を玄米に置き換えるのがてっとり早いです。ただし、玄米は無機ヒ素やカドミウムを白米よりも多く含んでおり、消化も悪いので妊婦や小児には注意が必要かもしれません。日本人集団において玄米摂取群と非摂取群を比較した研究は少なく、現時点では明確な結論は出せません。やはり、単純ではないですね。

あくまで私の個人的な考えですが、無機ヒ素やカドミウムのリスクは小さく、平均的な日本人(成人)に対しては白米よりも玄米のほうが体にいいだろうと考えています。玄米のリスクが気になる人は、全粒粉パンや全粒穀物シリアルも販売されていますので、好みで利用してください。