コラム:詐欺グループは銀行口座をどう不正取得するか
昨年度(令和3年)の特殊詐欺の被害額は、警察庁発表によると、約278億円で、1日あたり約7620万円になっています。特に、激増しているのが、還付金詐欺です。被害額は約45億円で、前年度比の20億円以上の81.2%の増加というすさまじい数字になっています。要因はさまざまにありますがその一つに不正口座の売買がかなりの数、横行していることがあります。
ご存じのように還付金詐欺は「あなたには、保険料の過払いがあるので、戻します」と言って、高齢者をATMに誘導して逆にお金を振り込ませますが、振り込む先にあるのは、不正に取得された銀行口座です。詐欺が発覚して警察がいくら口座を止めても、詐欺グループはおびただしい数の口座を持っているので、それを次々に繰り出してきて、被害が起きるという悪循環が続いています。
口座取得の方法はさまざまですが、よく知られるのは「口座を高値で買います」という闇バイトの書き込みです。また闇金業者が高利の金を払えない人に、キャッシュカードや通帳を渡すように言ってくることもあります。いずれにしても、お金に困っている人が狙われています。しかし最初から悪事に使われるとわかっていて、良心の呵責を感じずに口座を渡す人の数は限られています。
そこで詐欺グループは考えます。
ネット上には、多くの副業情報が載っていますので、そこに詐欺グループは紛れ込みます。
その情報はどこにでもあるような募集に見えますので、応募者はまさか、それが犯罪行為につながるとは思わないまま話を聞くことでしょう。人は会話の交流が長く続くほど、相手の話を断り切れなくなります。そして良心の呵責をあまり感じさせないままに、なし崩しで、犯罪行為へと駆り立てるのです。