「80歳の壁」を越えて元気に過ごすにはどうすればいいのか。精神科医の和田秀樹さんは「高齢になったら、食べたいものを食べて、やりたいことをするべきだ。人間の体はよくできているので、体の声に従ったほうが健康的に過ごすことができる」という――。

※本稿は、和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

自宅で幸せな先輩男性の肖像
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高齢者は病気の芽を抱えて生きている

80を過ぎた高齢者は、老化に抗うのではなく、老いを受け入れて生きるほうが幸せではないか、と私は考えています。

85歳を過ぎて亡くなった人のご遺体を解剖すると、体のどこかにガンがあり、脳にはアルツハイマー型の病変が見られ、血管には動脈硬化が確認できます。ところが、それに気づかず亡くなる人がまた多くいるのです。

つまり高齢者は「病気の芽」を複数抱えながら生きている、ということです。

病気の芽は、いつ発症するかわかりません。今日は健康でも、明日は不健康になるかもしれません。突然、死んでしまうことだってあり得るわけです。

冷たく聞こえるかもしれませんが、その事実を受け入れたほうがいいと思います。

その上で、明日死んでも後悔しない人生時間ごしをする、というのが私からの提案です。