同社の特徴は地域別の支持に顕著に表れている。三越や伊勢丹が東日本を、大丸や阪急阪神が西日本を中心に支持を集めたのに対し、高島屋は特定地域への偏りがない。

「これは、全国で均質なサービスを行っているからではなく、各店舗が独自に地域に合ったサービスを展開しているからだと思います。東京エリアでも、クラシックなイメージの日本橋、子供づれのお母様が3世代でゆったりと買い物をされる二子玉川、ファッショナブルで若い方の多い新宿など、街の雰囲気によって店の趣や品揃えを変えています。百貨店業界でよく行われている、シンボリックな旗艦店を街の中心部に立ち上げ、そのミニチュア版を郊外に展開していく、という開発パターンは弊社では行いません。地域特性を活かし、街と共に成長していくことを心がけています。ですから各店舗は個性が際立つ印象になっています」(高島屋広報・IR室)

街と共に成長する例として、横浜店や二子玉川店が挙げられる。この2つの店舗が立ち上がったとき、そこは決して活気がある場所ではなかったという。今はその場所が中心街としてにぎわっていることを考えれば、店が街と共に成長してきたという自負は間違ってはいないだろう。

また、高島屋は、「レストランなどの付帯施設の魅力」という項目でも高い支持を得た。この背景には百貨店らしからぬ発想での店舗開発がある。高島屋グループには東神開発という40年以上の歴史を誇る商業施設専門のディベロッパーがある。通常、百貨店の店舗開発では面積単位での売り上げ効率が優先にされがちだが、高島屋ではレストラン部分などの開発をディベロッパーが行うため、多少売り上げ効率が下がっても、顧客に喜ばれる雰囲気をつくることに重点を置いてきた。物販もさることながら、サービスや飲食なども含めたショッピングセンターとしての開発を行っているところが高島屋の大きな特徴だ。

地域の特色を活かし、街と共に成長していく戦略に、高島屋が支持される秘訣があるようだ。