外に出られない時も「すっぽん鍋が食べたい」

コロナ禍で外食も一切していなかった先生。先生も私も、おいしいものを食べることが楽しみなのに。コロナで静かな寂庵で「なんかおいしいもの食べたいですね~」と私が言うと、「本当よね、どこにも出かけていないし。大市のすっぽん鍋食べたい。食べに行きたい」と先生は言っていた。

お鍋は年中食べることができるけれど、やっぱり冬に食べたくなる。最後に卵をいっぱい落とした雑炊も格別! おもちも入っていてボリューム満点!

「あと、まなほがおいしいと言っていた洋食屋にも行きたい」
「洋食屋? どこでしょう……そんなこと言いました?」
「言ったじゃない! ほら、人を連れて行ったら喜んでもらえたとか」
「あー! シチリア料理のお店ですね。イタリアン!」
「そうそう、そこにも行きたいわ」

私もしばらくそこには行けていない。こぢんまりとしたお店で、シチリア島で使われる食器などを使い、装飾も鮮やかで、まるでシチリア島にいるみたい(行ったことないけど)。

何を食べてもおいしかった。先生を連れて行きたいと思っていたんだった。

定期健診の帰りは「お好み焼き」がお決まり

私はまた先生と東京の帝国ホテルで朝食を食べたかった。フレンチトーストやワッフルがおいしい。編集者の方に連れていってもらった、きのこ鍋のお店にもまた行きたかった。東京での会食は、京都にはないようなお店も多くて、毎回、そのおいしさに驚き、感激していた。でも、最後の晩餐の「大市」のお鍋やシチリア料理を食べることも、先生とまた東京に行くこともかなわなかったな……。

先生はもう和食には飽きたようで、近年はパスタが大のお気に入りだった。パスタを出すと、「おいしい」といつもの2倍食べてくれる。ピザも好きで、外国の料理の方が先生は食べていて楽しいようだった。

ただ定期健診で病院に行く際は、帰り道にあるお好み焼き屋でテイクアウトするのがお決まり。夕食に残しておこうと話していたのに、ソースの匂いに我慢できず、「温かいほうがおいしいに決まってる! 食べようよ~」と先生。たしかに!

ソースの匂いはずるい。どんなにおなかがいっぱいでも匂いを嗅げば、胃にスペースができてしまう。名付けて関西人特有別腹。「おいしいね~!」と言いながら食べるお好み焼きのおいしいこと!