人類が生き残るためにクロノタイプは生まれた

なぜ複数のクロノタイプが生まれたのかについては諸説ありますが、なかでも興味深いのは、「人類が生き残るため」という説です。

例えば、古代に生きたわたしたちの祖先が、もしみんな同じクロノタイプで、同じ時間に就寝していたとしたらどうでしょうか? 凶暴な肉食獣に襲われ、その集落の人が全滅……という事態に直面していたかもしれません。

それではみんな生き残ることはできませんし、種として遺伝子を残していくこともできません。

そんな事態を避けるためには、外敵に襲われないように常に誰かが周囲を見張っている必要があります。

朝型の人間が寝入っているときには、夜に強い夜型の人間が周囲を警戒する。夜型の人間が眠りについたら、朝型の人間が起き出して、まだ薄暗い早朝の番をする。これなら、あらゆる外敵からの襲撃に対処することができます。

こうして、クロノタイプが生まれたという説があるのです。

朝型人間と夜型人間の典型的な性格

面白いことに、クロノタイプは性格傾向とも関係していることが多くの研究からわかっています。例えばそれは、次のようなものです。

【朝型性格】
□内向的
□勤勉で朗らか
□粘り強い
□学校の成績がよい
□女性に多い

【夜型性格】
□外交的でリスクをいとわず新たな刺激を好む
□柔軟で変化に強い
□落ち込みやすく、だるさや眠気を感じやすい
□太りやすい
□男性に多い

もちろん個人差がありますが、一見して対照的であることがわかるでしょう。端的にいえば、朝型は勤勉で粘り強く、夜型はアクティブで衝動的といったところでしょうか。

朝型の人は、午後9~11時に就寝して午前4~6時に目が覚め、パフォーマンスがもっとも上がるゴールデンタイムを午前に迎えます。

一般的な企業に勤める人なら、出社早々に仕事をバリバリこなせるということになりますよね。しかも、夕方の午後5~7時には覚醒度がもういちど上がるため、帰宅する時間を使って情報収集や勉強をするのも捗るというメリットがあります。

一方、夜型の人の本来の体のリズムに従えば、適した就寝時間は夜中の1~3時。目を覚ますのは午前8~10時です。

でも、普通のビジネスパーソンなら遅刻してしまいますから、どうにか無理やり起床することになります。その結果、1日を通じて眠気を感じることになり、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲みものを愛飲する人が多くなります。

夜型の人がゴールデンタイムを迎えるのは、午後6~10時。一般的な企業ならば、終業時間を迎えてしまっています。