アメリカでは自分の稼ぎが多い女性ほど、子持ち割合が増加している
3つ目の興味深い結果は、「高所得層の働く女性ほど、子持ち割合が持続的に増加している」というものです。
論文では、女性の所得階層別に子持ち割合の推移を調べています。この結果、次の3点が明らかになりました。
① 働く女性全体で見ると、子どもを持つ比率は1990年以降、緩やかに低下している。
② 子どもを持つ比率の低下がどの所得階層で発生しているのかを検証した結果、中位層および低位層での減少が原因であることがわかった。
③ これに対して、高所得層では逆に子どもを持つ比率が増加していた。また、高所得層では子どもの数も増加する傾向にあった。
② 子どもを持つ比率の低下がどの所得階層で発生しているのかを検証した結果、中位層および低位層での減少が原因であることがわかった。
③ これに対して、高所得層では逆に子どもを持つ比率が増加していた。また、高所得層では子どもの数も増加する傾向にあった。
以上の結果から、「アメリカでは自分で高い賃金を稼げる女性ほど、子どもを持つようになってきている」と言えます。
これまでキャリアの追求と家庭生活の追求は相いれない部分があるため、両立が難しいと考えられてきました。
しかし、直近ではキャリアと家庭生活の充実の両方を手に入れる女性たちが出てきているのです。
なぜ高所得の子持ち女性ほど、賃金が高くなっているのか
これまでの分析結果から明らかなように、アメリカではワーキングマザーの姿に変化が生じています。
なぜこのような現象が起きているのでしょうか。
ヤンヒェ・クワク研究員は論文の中で、「子どもの存在が賃金上昇に寄与している」という因果関係があるわけではなく、「高所得層の女性の行動パターンが変化した」可能性が高いと指摘しています。
つまり、自分で高い賃金を稼げる女性の中で、子どもを持ち、キャリアも維持できるように行動パターンを修正したのではないかと考えられるのです。
そこで、行動パターンを分析した結果、次の3点において変化が生じたことが明らかになりました。