企業は厄介な社員を放り出します。厄介な顧客にも同様に対処してはいけないのでしょうか。マット・シルバー(カンザス州)


 

つまり「顧客は常に正しいと言われているが、本当にそうか」ということですね。

答えは明らかで「本当にそう」です。事業を成功させようと思っているのなら、あらゆる顧客を満足させる努力をしなければなりません。わずらわしい顧客も、理不尽な顧客も、気難しい顧客もすべてです。なにぶんにも顧客は親戚のようなものであり、こちらから選ぶことはできません。ですから、顧客を愛するすべを覚えたほうがいいでしょう。

しかし、顧客の「至上性」についての伝統的な考え方がかえって有害で、拒否すること、場合によっては決別することが、賢明な策である状況がいくつかあります。

1つ目は簡単です。顧客の値引き要求がこちらの儲けをなくしてしまう場合、あるいはさらに悪いことに、その要求を呑んだ場合に業界の価格設定に混乱を招くおそれがある場合です。そのような状況に直面したときには、頑として譲歩を拒み、その顧客を切り捨てなければなりません。たとえ営業部門の連中を逆上させることになっても、です。

2つ目の状況も同じく容認できないもので、顧客が1回限りの製品を要求し、しかもそれがこちらの研究開発グループを会社の戦略目標や財務目標から外れた脇道に追いやるような製品の場合です。

この場合も営業部門の連中はサポートせよと喚き立てるかもしれませんが、資源を長期にわたって脇道に振り向けるのは致命的です。ずば抜けて大きな利益をもたらす顧客からの要求でない限り、きっぱりと断らなくてはなりません。