研究対象外だった不倫を科学的に解明する
テレビや週刊誌では、毎日のように有名人の不倫がセンセーショナルに報じられています。SNS上では「裏切りは許せない」「いや夫婦間の問題だ」と賛否が飛び交います。不倫をめぐる議論は常に活発で、感情的になりがちです。
ところが、私たちの日常では、有名人の不倫が噂になることはあっても、身近な知人や友人について「誰それが不倫をしている」と知っているケースはあまり多くはありません。それもそのはず、不倫は当事者間だけの秘密として行われることがほとんどですから、発覚しないのも無理はありません。
はたして、不倫は有名人だけのものなのか、それとも世間一般にありふれた行為なのでしょうか? この疑問に答えるために、既婚者を対象に調査研究を実施しました。その結果、既婚男性の51.9%、既婚女性の24.7%が不倫を経験していることがわかりました。この数字を多いと感じるか「そんなものだろう」と納得するかは、皆さん次第です。私は「こんなに多いのか」と驚きました。
不倫の頻度やその背景は、これまであまり学術的な研究の対象とはされてきませんでした。その理由のひとつに、不倫が「俗的なテーマ」と見なされてきた歴史があります。しかし、私たちの調査は、不倫の実態を科学的に解明し、冷静に考えるためのデータを提供することを目指したものです。この記事では、調査結果をもとに、不倫の実態とその背景に迫ります。
日本では、不倫は「俗的」とされ、学術的研究の対象外でした。しかし、その実態を科学的に解明することは、夫婦関係や人間行動を理解するうえで重要であると考えます。
この調査は、日本全国の既婚者を対象にウェブで実施し、性別や年代、居住地が日本全体を代表するよう回答者を選定しました。また「リスト実験」という手法を用い、社会的望ましさバイアス(好ましい回答を選びがちな傾向)を排除しました。この手法では、複数の項目からいくつ選んだかだけを尋ね、回答内容をぼかします。不倫というテーマでは回答者が「社会的に望ましいと思われる回答」を選ぶ傾向が強いと考えられますが、この手法を用いることで、その影響を最小限に抑えられます。
結果として、私たちの調査データは、いくつかの点で他国の研究結果と一致しました。たとえば、アメリカやヨーロッパでも、既婚男性が女性よりも不倫を経験する割合が高いことが報告されています。また、職場での人間関係が不倫のきっかけになる点についても、共通した傾向が見られました。一方で、日本では職場内の地位や性別役割の違いがより顕著に影響を与えている点が、独自の特徴として浮かび上がります。
こうした違いを分析することは普遍的な傾向を明らかにするだけでなく、各国の社会構造や文化的背景を比較し理解するうえでも有用です。
もちろん、この調査にも限界があります。たとえば、インターネットを利用しない層が調査対象に含まれていない点や、母集団の完全な代表性を担保できるわけではない点です。しかし、これらの限界を考慮してもなお、得られたデータは不倫の実態を理解するうえで大きな示唆を与えてくれるものだと考えています。
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