昨年12月に20歳を迎え成年となった愛子さまが、今年3月17日に初めての記者会見を行った。現行のルールでは、愛子さまはご結婚とともに皇族の身分を離れなくてはならないが、神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは、記者会見での言葉の中に、こうしたルールとは異なる愛子さまの希望を示唆するメッセージを読み取ったという――。
成年に当たり記者会見される天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2022年3月17日、皇居・御所「大広間
写真=時事通信フォト
成年に当たり記者会見される天皇、皇后両陛下の長女愛子さま。2022年3月17日、皇居・御所「大広間」

高い品格を感じさせた記者会見

3月17日、皇居の御所・大広間で敬宮としのみや(愛子内親王)殿下が初めての記者会見をなさった。昨年12月1日にご成年を迎えられたことにともなうものだ。ご会見を映像で見た人は、それぞれ深い印象を受けたのではないか。

殿下は春らしい若草色のスーツをお召しになって、終始、穏やかな笑顔で、記者からの質問に一つ一つ丁寧にお答えになった。映像を拝見する限り、ご自身であらかじめ用意されたメモに目を落とされる場面は、最後までほとんどなかった。

ご誠実で優美。まだお若いのに風格さえ漂わせておられた。しかも輝くばかりのチャーミングさ。ご会見を拝見しているうちに、「なぜか自然と涙が流れてしまった」とか、「心が洗われたような気持ちになった」という声を、しばしば耳にした。

ご会見の途中、ところどころ言葉がつかえたり、わずかに言い直しをされたりする場面もあった。しかし、そのような時でも、その場を支配していた平安で温かな空気が、いささかもかき乱されることがなかった。お人柄と言うほかない。

ご会見でのお姿から、皇室の方々の中でも直系の血筋につながる方だけがまとうことができる、独特な“オーラ”を感じ取った人もいただろう。

上皇・上皇后両陛下は、内廷(いわゆる天皇家)でありながらお子様をご自分のお手元でお育てになる「親子同居」という、皇室としては新しい暮らし方を取り入れられた。それを天皇・皇后両陛下も受け継がれ、敬宮殿下は20年間、ずっと両陛下から感化を受けられることによって、自ずと高い品格を身に付けられた。その事実を強く感じさせるご会見だった。

「唯一の直系皇族」の自覚

ご会見では、ご自身が現在の皇室でたった“お1人だけ”の直系皇族(天皇・皇后両陛下のお子様)でいらっしゃるのを、明確に自覚されていることをうかがわせるご発言があった。

たとえば「皇室の一員としての在り方をどのように学んでいるか」という問いに対して、以下のようにお答えになっている。

「私は幼い頃から、天皇皇后両陛下や上皇上皇后両陛下を始め、皇室の皆様が、国民に寄り添われる姿や、真摯に御公務に取り組まれるお姿を拝見しながら育ちました。そのような中で、上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております。……」と。