「思いやりと感謝の気持ち」

また、昨年12月1日のご自身のお誕生日に際して、成年を迎えられた「ご感想」を発表された。その中に、このような一節があった。

「日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことができるよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」と。

ここに「自分を磨き」とあるのは、天皇陛下がおっしゃる「研鑽」をご自分なりに言い換えられた表現だろう。

さらに、「思いやりと感謝の気持ち」とあるのも見逃せない。と言うのは、令和元年(2019年)の皇后陛下のお誕生日の際の「ご感想」の中に、次の一節があったからだ。

「愛子は……これからも感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、いろいろな方から沢山のことを学び、心豊かに過ごしていってほしいと願っています」と。

天皇陛下も令和2年・同3年(2020年・2021年)のお誕生日にあたってのご会見で、繰り返し敬宮殿下が「感謝と思いやりの気持ち」を大切にするよう、言及しておられた。

先の殿下の「ご感想」中の表現は、明らかにそれらの両陛下のお言葉を受け止め、真摯に応答された結果にほかならないだろう。唯一の“直系皇族”として、天皇・皇后両陛下のお気持ちを全力で受け継ごうとされている姿勢が伝わってくる。

実はこのことに関連して、殿下は意味深長なご発言もされていた。

「これからも長く一緒に…」に込められた真意

それは、関連質問へのお答えの中で、ご両親(両陛下)に伝えたいお言葉として、(皇后陛下の「生まれてきてくれてありがとう」という言葉に掛けて)「生んでくれてありがとう」と共に、「これからもどうかお体を大切に。これからも長く一緒に時間を過ごせますように」というお言葉を添えられたことだ。

「これからも長く一緒に……」というのは、もちろん、ご両親を慕われる素直なお気持ちのご表明と受け取ることができる。

しかし一方、そこに重大な意味を読み取ることも可能ではあるまいか。何故なら、今の皇室典範のルールでは、未婚の女性皇族(内親王・女王)は、ご結婚相手が天皇か皇族でない場合、ご結婚とともに皇族の身分を離れなければならないからだ(第12条)。

二重橋
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