宇宙でも「欧米vs中ロ」という分断が起きる
このままいけば、ロシアの宇宙開発は国際社会から締め出される可能性がある。17日に欧州宇宙機関(ESA)が、ロシアと共同で今年打ち上げる予定だった火星探査機の計画を中断すると発表したように、すでにその兆しが見えている。
ISSに滞在する米国の飛行士が、今月末にロシアの宇宙船で地球に帰還する予定になっており、その動向が注目されていたが、NASAは14日、予定通りに進める、と発表。とりあえず最悪の事態は免れた。
国際社会から締め出さされた時、ロシアは中国との連携を深めるだろう。
中国の王毅外相は7日、「中国は停戦に向けた仲介で協力できる」と表明し、ロシアと中国の友情は堅固であるとも強調した。
今、米国が主導して国際協力で月面に有人基地を造る「アルテミス」計画が進められている。だが、ロシアはこれに参加せず、中国と月面基地の建設で協力する政府間合意を1年前に交わし、計画を進めている。一方、中国は独自の宇宙ステーションを建設中で、今年完成する予定だ。ここにロシアが加わることも考えられる。
世界の宇宙開発は二極に分断される恐れがある。双方が目指す月までは、広い宇宙空間が広がる。国際ルールや規範を顧みない中国とロシアがこの広大な宇宙空間でどのようにふるまうか、リスクが高まっている。