転職で失敗しないためにはどうすればいいのか。元転職エージェントで、「退職学」の研究家として『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)を書いた佐野創太さんは「転職サイトに登録する前に自分の本音をクリアにしておかなければ、転職ループに陥ってしまう」という――。
前を見つめるビジネスウーマン
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「転職だけうまくいく人」と「転職後もうまくいく人」の決定的な違い

転職エージェントの経験から正直にお話ししますと、「会社辞めたい」というニーズに応えるなら「内定をとること」を目的にした方が手っ取り早いです。実際、多くの転職エージェントは「内定をとって転職してもらう」ことを目的にしています。

しかし、「会社を辞めること」を一番の目的に転職活動した人が転職後しばらくして、こんな悩みを「また」抱えて相談にくるシーンを幾度となく見てきました。

「自分のやり方を押し付ける上司の考え方や価値観についていけません」
「この仕事をしていても成長できるとは思えないし、ずっとやりたいとも思えません」
「大変な仕事の割には給料が低くて、自分を安売りしているような気持ちになります」

そして、仕事で感じるモヤモヤは、生活にも少しずつ忍び寄ってしまいます。

「休日に自己分析や自己投資をしてるのに“このままでいいの?”が止まりません」
「友人の転職や結婚報告のSNSを見ると、取り残されているような気になっちゃいます」
「寝る前にスマホをぼーっと眺めて“早く寝ればよかった”と後悔するのをやめたいです」

この人たちは口を揃えてこう言います。

“転職前と変わっていない気がします”

転職「だけ」うまくいった人は、転職前の不満がまた追いかけてくるかのようです。いわば、モヤモヤし続ける負のループにはまってしまっています。これが、「会社辞めたい」ループです。皮肉にも、「会社を辞める」を目的にするからこそ、「会社辞めたい」ループに陥ってしまうのです。

本音と向き合わなければ、転職後もモヤモヤは続く

一方で、転職後「も」うまくいく人は、転職前の不満から逃れ、スッキリする正のサイクルに入っていきます。

「新しい仕事の勉強が楽しいです。前職では終業後に仕事のことは考えないようにしていたのに、新しい職場では上司や同僚との会議で発言回数が増えました。転職前は『早く終われ』だったのに業務改善チームのリーダーに立候補しました。『会社が好き』なんて綺麗事だと思っていたのに」